2014年12月27日土曜日

新しい一年に向けて

12月6日から行ってきました、星冬祭。
お陰様でご好評いただき、29日まで会期延長させていただいております。
また、昨夜には、祝い品の数々をオンラインでの販売を始めたところですが、こちらもたいへんなご好評を頂いており、あらためて、イーハトヴのつくりべのみなさんの想いの詰まった品々の魅力に感じ入っているところです。
まだ祝い品はございます。
この冬の空の恒星のひとつひとつと同じ質量、おなじ輝きの品々、ぜひお手にとって頂きたいと思います。

第一回 星冬祭、オンライン販売ページ




それから、事務的なご案内になりますが、年内のオープンは星冬祭の開催日程とおなじく29日(月)までとさせていただきます。
オンライン販売の発送につきましても29日が年内最終日となります。
29日の午後3時までにお支払いの確認がとれなかった場合は年明け4日以降となりますので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。

また、新年は三が日はお休みを頂いて、最初のオープンは1月4日(日)11時からになります。
以下に箇条書きでまとめておきますね。

12月
27日(土)・・・このエントリの登録日。通常営業。
28日(日)・・・通常営業。
29日(月)・・・星冬祭、年内営業、ともに最終日。通販発送最終日。
30日(火)・・・休業日。
31日(水)・・・休業日。

1月
1日(木)・・・休業日。
2日(金)・・・休業日。
3日(土)・・・休業日。
4日(日)・・・通常営業。通販発送再開。


あわせて、1月のスケジュールも公開しておりますので、こちらもご覧いただければと思います。
→ 2015年1月の営業カレンダー by Googleカレンダー
※年末年始、イベントとの関係で前半はお休みが多くなっていますのでご注意下さい。





この地での二年目は、これまでやってきた、むかしロシアの絵本の魅力をお伝えすることを、より深く、より広く、より楽しんでやっていきたいと思いますし、同時に、ふぉりくろーる。のある水沢、奥州、岩手、東北の魅力というものを、人との出会いや繋がり、自然や風景や伝統を通してしっかり感じとりながら、ふぉりくろーる。の店名の語源であるフォークロアの名のとおり、少しずつでも語り始めて行きたいと思っているところです。
それって、きっと、まだよちよち歩きも始まっていないわたしたちが、ようやく何かを語ってみたいと思える何か、モノ・コトの端緒にようやく辿り着いた、ということなのかもしれません。
新しい一年、お付き合いいただけたら幸いです。



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ふぉりくろーる。
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岩手県奥州市水沢区南町2-17
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2014年12月9日火曜日

星冬祭、つくりべのご紹介「白雪小箱(しらゆきこばこ)」

星冬祭、つくりべのご紹介、最後の4人目は白雪小箱さんです。

フェルトをベースに、糸、ビーズ、スパンコール、レース、本物の羽毛などの繊細な素材を細やかな針仕事で縫いつけてゆく作風は、一品ひとしなに本物の動物の魂が吹きこまれてあるかのよう。
岩手の豊かな自然と、たくさんの動物達に囲まれて暮らすなかで培われた、彼女の眼差しの先には、可愛らしさの奥に佇む動物たちや自然のきびしさやたくましさも捉えているように思います。

今回は、賢治さんの童話やむかしロシアの絵本のエッセンスをそれぞれ素晴らしいブローチに仕立ててくださいました。
ディスプレイしているうちに、これはきっと白雪小箱の箱庭宇宙の星図に違いない、その世界観にしびれました。
真っ白い雪と、輝く満点の星空。
くすんだふぉりくろーる。の壁に掲げたむこうに、何億光年も隔てられた無数の恒星のシグナルが見えるようです。


星冬祭、白雪小箱の箱庭宇宙、全星図。

星になったよだか。氷窒素の世界で、すきとおり、気の遠くなるような過去を突き抜け、すべての恒星のなかまいりをしたさいごの姿です。

白鳥の停車場。こないだ、岩手にも白鳥たちが飛来していました。ロシアと岩手の空を行き来する、美しい鳥たち。ジョバンニとカムパネルラもあこがれのまなざしで見送ったのでしょう。

本物のような存在感のよだか。ずんぐりむっくりうずくまって、伐採跡地に拵えた巣のなかで抱卵しているんでしょうか。星になったよだかといっしょにしたときのイメージの飛翔、リアルとデフォルメのギャップがよくわかります。白雪小箱の魅力のひとつだと思います。

むかしロシアの絵本の中から出てきたような、フラットなデザインのネコさんとキツネさん。それぞれ手に雪の結晶を携えて、星冬の祝いのために召喚された精霊のようです。



祝い祭りのはじまった6日から4日連続、4人のつくりべの方々とその祝い品をご紹介してきました。
もうすでに、いくつかの品々はお越しくださったみなさんの元に。
ですが、ひきつづき、岩手水沢に開かれたイーハトヴとの境界で、星と冬のかがやきのかけらたちがみなさんのお越しをお待ちしております。


第一回 星冬祭、白雪小箱をはじめ、КОШКА、POLICO、menkegumaの祝の品々、いずれも一点ずつしか存在しない、またとない祝いの品ばかりです。
引き続き、祝い品のひとつひとつを少しずつご紹介してまいりますが、ぜひ、実物を手にとって見てください。
イーハトヴのポエジーを感じにいらして下さい。
北国岩手まで、時間旅行を楽しんでいただけたら幸いです。



イーハトヴのつくりべたちによる
星と冬の祝い祭り
『第一回 星冬祭』

於 ふぉりくろーる。イーハトヴ店
自 西暦二〇一四年十二月六日
至 西暦二〇一四年十二月二三日



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2014年12月8日月曜日

星冬祭、つくりべのご紹介「menkeguma(めんけぐま)」

menkeguma(めんけぐま)とは、岩手の言葉でかわいいくまさん。

彼女が即興でつくったお話から生まれるゆるカワなゆびにんぎょうさんたちは、どれもほっこりする表情で、まるで見て触れる絵本のよう。

今回は、賢治さんのお話、ロシアの昔話に基づいたおにんぎょうさんと、星冬祭というイメージからインスパイアされたオリジナルなストーリーに拠るゆびにんぎょうさんたちが集まってくれました。

天あまの川がわの西の岸にすぎなの胞子ほどの小さな二つの星にすむチュンセ童子とポウセ童子。賢治さんの童話、双子の星から。

こちらは雪の女王。大きな氷の盾が威厳ありげで、でもやっぱりゆるカワで(^^)。アナ雪のエルサよろしく、青いマントを空に翻したりするんでしょうか。

天の川でお料理するお母さんネコちゃんのようなゆびにんぎょうさん。自分で拵えた料理に舌なめずりしてるみたい(^^)

一足お先に冬を越えた春の野の花三姉妹さん。瑞々しさとゆるカワさが不思議なバランスです。



第一回 星冬祭、menkegumaの祝の品々、いずれも一点ずつしか存在しない、またとない逸品ばかりです。
ぜひ、実物を手にとって見てください。
イーハトヴのポエジーを感じて下さい。


イーハトヴのつくりべたちによる
星と冬の祝い祭り
『第一回 星冬祭』

於 ふぉりくろーる。イーハトヴ店
自 西暦二〇一四年十二月六日
至 西暦二〇一四年十二月二三日



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2014年12月7日日曜日

星冬祭、つくりべのご紹介「POLICO(ポリコ)」

POLICO、Tanya Atanya by polico、Que redo redo (ex.POLICO.h)の3つのラインで木製アクセサリーを制作するアーティスト、マキさんは、多方面から常にひっぱりだこな多面体さん。

彼女の作品は、いずれもウッドバーニングという木の板の表面を焦がしながら描くスタイルで製作されるもの。木の焦げ目の濃淡が醸す風合いと、カラフルなイラストが重なって、可愛らしくもどこか懐かしい乙女の心象世界をかたどっています。

今回、星冬祭では、POLICO名義でのブローチをたくさん拵えてくださいました。
お気に入りの物語は色々あるそうですが、彼女にとって賢治さんのイメージは星空と冬なんだそう。
「ジリジリと暑いわけでもなく、ギラギラと眩しいわけでもない、ひんやりと静かな世界。耳を澄ますとひそひそ聞こえる動物たちの噂話。チカチカ星が輝く音。ロシアの冬も賢治の世界と繋がってるんじゃないかな?今回は、夢の中のような、でも現実にそこにいるような、賢治とロシアの星空と冬の世界をアクセサリーで表現できたらな、と思っています。」
そう語る彼女の、夢と現実がかさなった場所、それはイーハトヴと岩手水沢をつなぐ場所、ふぉりくろーる。のなかにあらわれているんだと思います。

賢治さんの不朽の名作よだかの星。POLICOのよだかもどこか笑っているような表情です。星冬祭にかかせない、つめたくやさしい世界の象りです。

賢治さんモチーフのブローチたち。切り抜いたカタチから垣間見るイーハトヴの美しい冬景色。雪わたり、チャンガチャンガ馬コ、ふたごの星。あどけないお話たち。 

ロシアモチーフのブローチたち。ベレスタを思わせる飾り枠、ロシアの古い木のお家。動物や女の子たちがまるで木のなかで暮らしているみたいな存在感。いまにもアニメイトして動き出しそうです。

スネグーラチカちゃんと雪ん子ちゃん、ロシアと東北のゆきむすめたち。目の色はちがっても、つめたさのなかに宿るこころのぬくもりをひとしく象徴しています。すらっとしたスネグーラチカちゃんもべっぴんさんだし、雪ん子ちゃんのうちまた感もこれまた可愛い(^^)

第一回 星冬祭、POLICOの祝の品々、いずれも一点ずつしか存在しない、またとない逸品ばかりです。
ぜひ、実物を手にとって見てください。
イーハトヴのポエジーを感じて下さい。


イーハトヴのつくりべたちによる
星と冬の祝い祭り
『第一回 星冬祭』

於 ふぉりくろーる。イーハトヴ店
自 西暦二〇一四年十二月六日
至 西暦二〇一四年十二月二三日



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2014年12月6日土曜日

星冬祭、つくりべのご紹介「КОШКА(コシカ)」

林野をゆく道すがら、突如現れるキリル文字の看板。
金ケ崎という岩手の里山に、gallery КОШКАはあります。
そして、そこには、ネコをこよなく愛する女性、アトリエ・ギャラリーの主・КОШКАのくらしと創作があります。

КОШКАとはロシア語でネコちゃんの意味。
ネコと家族とゆたかな自然に囲まれて、彼女の手からうみだされる陶や染の作品たちは、太陽と大地からもたらされた、暖かな波動や軽やかな彩りを存分に湛えています。

今回はイーハトヴの星と冬を祝う祭りにふさわしい、賢治さんへのオマージュと自然素材の生命力がいっぱい詰まった作品をたくさん用意してくださいました。

草木染のブックカバーとポチ袋。カバーには2015年の手帳も付いてきます。賢治さんを思わせる夜空、星たち、里山の風景、身近な冬の光景。新鮮な空気と暖かい太陽ときれいな水で育った草木の生命の色彩。天然の糊でコーティングされた手触りも、まるで草原に身体を投げ出して遊ぶかのよう。可愛らしくも、使うほどに味わい増す逸品です。

陶のかざりのついたヘアゴムやイアリング。なんと、ひとつひとつのタグに賢治さんの俳句がひとつずつ添えられています。「水露を たもちて菊の 重さかな」菊の模様の陶の重み、みみたぶや髪の毛を通して感じられる賢治の詩です。

鉄鋼石のように固く焼き締められたペンダント。無類の石好きで小さいころは石っ子賢さんと呼ばれた賢治さん。石の持つ記憶を読んでは、きっと時間旅行していたんでしょうね。かつてミケランジェロは、石が予め持っている形を引き出してやるのが自分の仕事だと言ったのだとか。賢治さんも、それを心象スケッチと読んでいました。КОШКАも土からいろんな話を聞いているんだろうな、そう感じます。

今回のためにたった一点焼いてくれた「夜空のスープカップ」。このカップには、ジョバンニの姉さんがトマトで拵えた何かがきっと入っているに違いない。そう思って眺めているうちに、トマトで拵えた何かが満ちたカップの内側からカップの外側の夜空の世界へと意識がうつり、無限のひろがりのなかに思わず吸い込まれてしまいそうになります。


第一回 星冬祭、КОШКАの祝の品々、いずれも一点ずつしか存在しない、またとない逸品ばかりです。
ぜひ、実物を手にとって見てください。
イーハトヴのポエジーを感じて下さい。


イーハトヴのつくりべたちによる
星と冬の祝い祭り
『第一回 星冬祭』

於 ふぉりくろーる。イーハトヴ店
自 西暦二〇一四年十二月六日
至 西暦二〇一四年十二月二三日



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2014年12月3日水曜日

雪降って静かに白熱して

11月のさいごの週末、むかえた東京蚤の市はたいへんな盛況をいただいて、ほんとうにありがとうございました。
SNSでフォローしてくださっている方々からも声をかけていただけて、あらためて嬉しく、感謝の気持ちが湧き上がるのを感じておりました。
また、素晴らしいお店がたくさん出店されていて、皆さんというわけには行きませんでしたが、多くの方々と交流させていただけて、とても楽しく、刺激をたくさんいただきました。
主催の手紙社のみなさんもボランティアのみなさんも、イベントの成功のために常に献身的に働いてくださっておりました。
こんな素晴らしいイベントに関わらせていただけたこと、改めて深く感謝いたしております。
また、次にお声がけいただけたときも、全力で楽しみたいと思います!





そして、ここ岩手は、12月をむかえて、止めどなく雪の降る日々です。
これは、6日からはじまる星冬祭にむけて、イーハトヴの空から惜しみないベールのもたらしなのかもしれません。


また、この祭に作品を供してくださるつくりべの皆さんからは、いままさに白熱しているところだと便りが届いています。
どこまでも高く続くこの雪のしるしが、その熱によって冷ますことなくほぐれ、ひと品ひとしなに再結晶することを予感しています。


いよいよ3日後に迫った星冬祭、想うと胸が高鳴ります。
星と冬にちなんだ賢治さんの作品を、と思い手にとった校本賢治全集。
表紙の青に鎮めてもらいながら「春と修羅」を通読すると、「冬と銀河ステーション」というおしまいの一篇に辿り着きました。



冬と銀河ステーシヨン



そらにはちりのやうに小鳥がとび
かげろふや青いギリシヤ文字は
せはしく野はらの雪に燃えます
パツセン大街道のひのきからは
凍つたしづくが燦々さんさんと降り
銀河ステーシヨンの遠方シグナルも
けさはまつに澱んでゐます
川はどんどんザエを流してゐるのに
みんなはなまゴムの長靴をはき
狐や犬の毛皮を着て
陶器の露店をひやかしたり
ぶらさがつた章魚たこを品さだめしたりする
あのにぎやかな土沢の冬の市日いちびです
(はんの木とまばゆい雲のアルコホル
 あすこにやどりぎの黄金のゴールが
 さめざめとしてひかつてもいい)
あゝ Josef Pasternack の指揮する
この冬の銀河軽便鉄道は
幾重のあえかな氷をくぐり
(でんしんばしらの赤い碍子と松の森)
にせものの金のメタルをぶらさげて
茶いろの瞳をりんと張り
つめたく青らむ天椀の下
うららかな雪の台地を急ぐもの
(窓のガラスの氷の羊歯は
 だんだん白い湯気にかはる)
パツセン大街道のひのきから
しづくは燃えていちめんに降り
はねあがる青い枝や
紅玉やトパースまたいろいろのスペクトルや
もうまるで市場のやうな盛んな取引です
(一九二三、一二、一〇)



まさにこの星冬祭の祝いと祈願にぴったりとかさなるイメージを見る思いがしました。
ギリシャ文字とロシア語キリル文字との相似のこと、灰色に沈む雪の街を彩る赤や青や金やスペクトル、それらはまるで銀河を構成する詩学そのものです。
この銀河のむげんの点と線のあいだじゅうに響きあって満ちてゆくかがやき、いまはまだ見えないかもしれないそれらのかがやきが、やがて連なってゆくのが見えてくるようです。


最後に、春と修羅の序をここに置いて、第一回 星冬祭の序の事寄せとしたいと思います。





わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

これらは二十二箇月の
過去とかんずる方角から
紙と鉱質インクをつらね
(すべてわたくしと明滅し
 みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつゞけられた
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケツチです

これらについて人や銀河や修羅や海胆は
宇宙塵をたべ または空気や塩水を呼吸しながら
それぞれ新鮮な本体論もかんがへませうが
それらも畢竟こゝろのひとつの風物です
たゞたしかに記録されたこれらのけしきは
記録されたそのとほりのこのけしきで
それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで
ある程度まではみんなに共通いたします
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
 みんなのおのおののなかのすべてですから)

けれどもこれら新生代沖積世の
巨大に明るい時間の集積のなかで
正しくうつされた筈のこれらのことばが
わづかその一点にも均しい明暗のうちに
  (あるいは修羅の十億年)
すでにはやくもその組立や質を変じ
しかもわたくしも印刷者も
それを変らないとして感ずることは
傾向としてはあり得ます
けだしわれわれがわれわれの感官や
風景や人物をかんずるやうに
そしてたゞ共通に感ずるだけであるやうに
記録や歴史 あるいは地史といふものも
それのいろいろの論料データといつしよに
(因果の時空的制約のもとに)
われわれがかんじてゐるのに過ぎません
おそらくこれから二千年もたつたころは
それ相当のちがつた地質学が流用され
相当した証拠もまた次次過去から現出し
みんなは二千年ぐらゐ前には
青ぞらいつぱいの無色な孔雀が居たとおもひ
新進の大学士たちは気圏のいちばんの上層
きらびやかな氷窒素のあたりから
すてきな化石を発掘したり
あるいは白堊紀砂岩の層面に
透明な人類の巨大な足跡を
発見するかもしれません

すべてこれらの命題は
心象や時間それ自身の性質として
第四次延長のなかで主張されます



     大正十三年一月廿日
宮沢賢治







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