2015年3月9日月曜日

お知らせとご挨拶。

日頃からお世話になっているみなさんへ
大切なお知らせとご挨拶がございます


じつは
この5月いっぱいをもって
ふぉりくろーる。の活動を閉じること
決断いたしました


急な話ですいません
ですが
この数ヶ月
ずっと考えてきたことで
ここ岩手水沢で実店舗を構えてから
もうすぐ一年
というこのタイミングで
決断に至ったものです


約4年にわたり
いつも支えていただき
ほんとうにありがとうございました
みなさんのお力で
なんとかここまで来ることが出来ました
いまは素直に
その事にただただ感謝しています


これまでも
何度となくわかれみちに遭遇してきました
その都度
後押ししてくださったのは
他でもないみなさんの応援の声でした


メールやSNSで
イベントの会場で
岩手水沢の店内で
それぞれの場所
それぞれの時
みなさんから掛けていただいた声が
どんな時でも支えでした


こういうことは
生涯のあいだで
それほど多くあることではありません
なのに
こういうことに
数多く恵まれた
かけがえのない素晴らしい日々でした


そしてそれは
3,000を超える絵本を通じて
500人の画家と
500人の作家と
魂を通じてなにかをやりとりするような
そう感じられるような日々でもありました


時間を忘れられる仕事
このままこうしていられたら
それでも
わかれみちはやってきました





ふぉりくろーる。は
詩を書き舞台芸術に携わっていた彼と
ロシア語を学び人文科学研究を志す彼女が
出会い
子を授かり親になり
育児に商売に奔走しつつ
紆余曲折を経て
自分たちなりの社会参加のカタチとして
模索したなか辿り着いたものでした


むかしロシアの絵本のことを
徹底的に追求しよう
他にない世界をつくろう
そのことで自分たちの立ち位置を築こう


おそらくまだ
誰も紹介したことのない絵本も
自分たちが感じたことを
感じたとおりに表現すれば
きっとうまくいく
そんな希望をもって
そのためのやり方を
いくつもいくつも試行錯誤してきました


と同時に
伴侶との向き合い方
子を持つ親としてのあり方
家庭というもののあり方
いずれもトレードオフにならないよう
試練の日々でもありました


予定調和は考えませんでした
できることをとことんやろう
ふたりじゃなきゃできないことをやろう
ただそれだけでした


4人目のこどもが彼女のお腹にいるとき
あの大震災がおこりました。
家族は東京で暮らしていましたが
彼の故郷である東北岩手ははげしく痛みました
そして生れた女の子に
神の加護が離れた場所で人の暮らしをはじめる女
「舎女(おきめ)」と名づけました


彼は故郷を離れてから
ずっと都会に棲みついていましたが
岩手の実家の裏にそびえる奥羽の山々
そのむこうに広がっているはずのロシア
その幻影を見ていたかもしれない幼い自分の姿を
ぼんやりと思い出していた頃でした


震災の翌年に生れた
5人目のこどもは男の子でした
「巽(たつみ)」と名づけました
東北が生んだ舞踏家土方巽の名をとりました
そして一年後
家族は岩手に移住していました


彼女は巽のあとも何度か身ごもりましたが
みなうまく育ちませんでした
暮らしと仕事のバランスが
崩壊していました
彼女は彼の故郷に行きたいと言いました
彼もそれがいいと思いました


岩手に移ってから
最初の冬を越え
迎えたハルに
実店舗をオープンさせました
そしてちょうど一年後の同じ日に
幕を下ろすことにしたのです





街で商売ができることが嬉しくて
毎日せっせと働きました
まだ見たことのない素晴らしい絵本
岩手で価値観をともにする
素晴らしい友人たちにも恵まれました


ネットの向こうで待つみなさんに
大都市のイベントで迎えるみなさんに
なにかを手渡ししたくて
精いっぱい仕事に打ち込みました
そしていつも暖かく迎えていただきました
はるばる岩手にも来ていただけました
時間を忘れて言葉を交わして下さいました
みなさんの笑顔をみる度
よろこんでくださる声を聞く度
ほんとうに感謝の気持で満たされました
なのになぜか
こころの隅のほうで
どこか満たされないものを感じていました


この一年のあいだ
店の前を自動車が
毎日何台も通り過ぎて行きました
ドアが開かない日が何日もありました
壁に掛けた時計の針が
カチカチと無為に刻んでいるだけ
そんな時間を何度も過ごしました


絵本を待っているみなさんに向けて
絵本に打ち込むほど街は遠ざかり
街と向き合おうとすると
絵本の場所をうしなってしまう


よく尋ねられました
どうしてロシアの絵本をこの街で?


実は理由なんかなかったのです
自分たちが大事にしたいことと
大事にすべきことをかさねて
より良いと思えるみちを
選びとってきただけなのです


いっぽんのみちだと思われた街と店
街で店をやる
店が街にある
それだけのことだと考えていました
街から店へ
店から街へ
繋がって
続いている
そんなシンプルなことが
いちばん大切なんだと


だから取り戻したいんです
そんなシンプルな日常と暮らしを
この街に
わかれてしまった街と店を
ふたたびいっぽんのみちに
ふっと訪れてくれた
旅を愛する人がそっとふれる
彼の地のささやかな日常
それがいま
いちばん触れたいものかもしれません


そして間もなく
6番目の子が生まれようとしています
女の子で「篝(かがり)」と名付けるつもりです
岩手ではじめて授かった子
あたらしい日を照らすあかるい灯火
この街で育んでいきます





絵本やドールを楽しみにして下ったみなさん
いままでイベントに誘ってくださったみなさん
大切な作品を預けてくださったつくりべのみなさん
こういう形になってしまって本当にごめんなさい
そしていままでほんとにありがとうございました


どんなカタチか今はまだわかりませんが
なんらかのカタチで再びお目にかかれるよう
これからの日々をしっかり紡いで行こうと思います


今日はみなさんに
しばしのお別れとお礼のご挨拶をここに置いて
一旦失礼いたします


みなさんの日常に
これからも良き詩がやどりますように

2015年3月9日
ふぉりくろーる。村上克之・麻衣子






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ふぉりくろーる。
email: info★folklor.jp(★を@に)

023-0851
岩手県奥州市水沢区南町2-17
tel&fax: 0197-47-5539

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